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交通誘導警備実施時の労災事故を防ぐために

交通誘導警備実施時の労災事故を防ぐために

「警備の事故にあうのは、不慣れな新人だけではないか」

そう思われるかもしれません。しかし、実際の重大事故の記録を読み込むと見えてくるのは逆の事実です。経験20年を超える人や、資格を持ったベテランが亡くなっている例がいくつもあります。

交通誘導警備は走る車のすぐそばで行う仕事です。だからこそ、「自分は慣れているから大丈夫」という油断こそがいちばん危険。

株式会社イースマイルは、宮城県を中心に地域密着型の警備サービスを提供しています。このコラムでは、警備業界で実際に起きた事故から見えてきた「交通誘導の労災事故を防ぐために大切なこと」を、現場目線でお伝えします。

労災は慣れた人にも起きる

慣れと馴れ合いこそ危険

事故を防ぐ第一歩は、思い込みを捨て、実際にどんなシチュエーションでどのような事故が起きているのかを正しく知ることです。

警備業界の統計によると、令和6年度に仕事中に亡くなった警備員は19名。そのうち14名、7割以上が交通事故によるものでした。ケガなどの労働災害にあった警備員は1,892名にのぼります。死亡災害の件数は、ここ数年で17名・20名・13名・17名・19名と推移していて、減少していません。

そして、亡くなった方の記録を見ると、経験21年の方、経験30年の方、交通誘導の資格を持った方が何人も含まれています。「慣れていれば事故にあわない」というのは、残念ながら事実ではありません。

むしろ、同じ現場で同じ顔ぶれが続くと打ち合わせが省かれ、確認が雑になり、馴れ合いが生まれます。その「いつもどおり」のなかに事故は潜んでいます。だから、何年やっていても毎回はじめての現場のつもりで緊張感を保つこと。これが労災事故を防ぐ出発点になります。

交通誘導警備の労災離れた人でも起こる

事故は規制開始・解除時に集中

危険な時間帯を知り、そこでこそさらに気を引き締める

事故には起きやすい時間帯があります。意外に思われるかもしれませんが、それは業務がもっとも忙しい最中ではありません。

規制開始時/解除中が危ない

まだ規制帯やコーンがない、もう撤去した。その時ドライバーは規制に気づいていない

片側交互通行などの車線規制は、コーンや看板がそろってはじめて「ここで工事をしている」と運転手に伝わります。逆に言えば、規制設置の準備作業中や、作業が終了後の資機材撤去直前は運転手から見ると規制があるように見えないことがあります。だからいつもの速さのまま走り込んでくる可能性があります。

実際に、規制を設置する作業員を守るために交通誘導をしていた警備員のところへ、大型トレーラーが車線変更せず突っ込み、複数名が死傷した事故があります。

また作業を終えて規制を解除している最中に、車線変更しなかった車が規制車に衝突し、撤去作業を守っていた警備員が巻き込まれて亡くなった事故もあります。

だからこそ規制開始時と解除時は、通常以上に車から目を離さず、可能であれば規制を予告する看板は先に出す、また最後に撤去することが大切です。「これから始める」「もう終わる」という、守りがいちばん薄い時間帯こそ緊張感を高めます。

業務外の依頼は安易に引き受けない

制服を脱いだあとの「ついで」が、命取りになる

その日の警備がすでに終わったあとに起きる事故も、後を絶ちません。

あるケースでは、業務を終えて私服に着替え通勤用バイクのヘルメットをかぶった警備員が、最後に出ていく工事車両を「ついで」に誘導しようとして車道に背を向けて出たところ、直進してきた車にはねられ亡くなりました。

契約された警備の時間はすでに終わっていました。

ここから学べることははっきりしています。勤務が終わったあとは安易に警備を引き受けないこと。もし現場で頼まれても、自分だけで判断せずいったん管制(会社)に報告して指示を仰ぐこと。装備を外したあとの「ちょっとだけ」が危ないのです。

現場を出て帰宅まで仕事のうち

通勤・移動中の事故も、れっきとした労働災害

安全管理の終わりは現場ではありません。

業務を終えて自分の車で帰宅する途中に事故にあった例、集合場所で車を発進させようとして転落した例、仲間と乗り合わせて帰る車が事故にあった例。いずれも痛ましい労働災害です。

一日集中して業務を実施したあとは疲れがたまっています。だからこそ、帰宅時の運転は速度を守り無理をしない。現場を出てから自宅に帰り着くまでが仕事です。

 

事故が起きやすい場面と立ち位置の基本

どこに立つか|立哨位置の選定が重要

背を向けない、逃げ場をなくさない、後ろも見る

交通誘導でもっとも事故を左右するのが立哨(立ち)位置です。

車に背を向けない

停止した車も、動き出す

車の流れに背を向けた瞬間がいちばん危険です。

出ていく工事車両を誘導しようと後ろ向きになったとき。停止した車を確認しようと体の向きを変えたとき。その一瞬に、別の車が近づいてきます。

実際に、警備員が4トントラックを後進誘導中し、一般道に退場させる際、左右の一般道の接近車両を確認するために一度4トントラックを停止し背を向けたところ、4トンの運転手が同僚の警備員の合図を自分への合図と勘違いして後進し警備員に接触、転倒して後輪に轢かれた事故があります。

停止させ背を向けたときに死角に入ってしまったのです。車は停止させてもいつでも動き出します。車が視界から消えない、運転手の死角に入らない位置、体の向きを保ちます。

逃げ場のない場所に立たない

壁や車との隙間に立つと、挟まれて逃げられない

立哨位置を選ぶときは、危険が生じたときにすぐ逃げられる場所があるかどうかを必ず考えます。壁や規制車、工事車両との狭い隙間に立つと、車が突っ込んできたときに挟まれてしまいます。

経験21年のベテランが、狭く急な上り坂で後退する工事車両を誘導していたときのことです。坂を上がりきれなかった車が勢いをつけ後進したところ、後輪が横滑りして警備員のほうへ下がり、石積みの壁との間に挟まれて亡くなりました。

坂道や路面状況により、車が思いどおりに動かないこともあります。逃げ込めるスペースを確保し、壁や車を背にしないこと。これが立哨位置の基本です。

前だけでなく、後方と横も見る

突っ込んでくるのは、正面からとは限らない

向かってくる車にばかり気を取られると、後方や横からの危険を見落とします。カーブを曲がり切れずに歩道へ逸れてきた車に、背後から衝突された事故もあります。歩道の上にいても安心はできません。

イースマイルでは、同じ方向を2秒以上見ないように、と指導しています。はじめは首が襟に擦れて痛くなります。痛くなればできている証拠。でもはじめだけです。慣れれば首の皮が厚くなります。

工事車両の後進誘導

誘導している工事車両こそ、最も近くにある危険

交通誘導警備中の事故は、通行する一般車だけが原因ではありません。自分が誘導している工事車両や、後退してくる工事関係車両に轢かれる事故が毎年数多く起きています。

ここで知っておきたいのは、運転手からの見え方です。バックで進入する車を後進誘導していた警備員が、運転手のバックミラーから見えなくなったため、運転手は「もう後方にはいない」と判断しそのまま後進しました。しかし警備員は車両の後方真ん中で安全を確認していて、轢かれてしまいました。

だから、後進誘導時は必ず運転手から常に見える位置に立ちます。誘導の途中で死角に入るような行動をとらない、左右に移動しない、車両との距離を保つ。クレーン、大型車両など、死角の多い車両誘導時は特に注意が必要です。

またバックホーなどの重機の作業半径内に入らない、動き出す可能性のある車のすぐ近くで業務を行わないことも基本です。

合図と見切り|車は思い通りに動かない

「伝わっているはず」を捨て、止まらないと早く見切る

合図はわかりやすく大きな動作で行います。あいまいな合図は運転手の混乱を招きます。停止距離を考え、悪天候や凍結する冬季は特にゆとりを持って早めの合図で誘導します。

そのうえで心構えとして大切なのが「見切り」です。車は、警備員の予想や期待とはまったく異なる動きをすることがあります。

スマホ操作などの脇見運転、漫然運転、居眠り運転、そして飲酒運転をしている車も現実に一定数います。「自分の合図は伝わっているはず」という過信がいちばん危険です。

だから、止まらないかもしれないと早めに見切りをつけ、危険を感じたら躊躇なく退避します。停止合図を出したのに止まらず突っ込んできた、という事故が繰り返されています。何度も言いますが、逃げ遅れないために退避先を立哨前に決めておきます。

熱中症対策していても油断禁物

水分・塩分補給、空調服に加え、体調管理と復帰判断まで含めて防ぐ

ここ数年夏の暑さは全国的に厳しさを増しています。仙台・宮城も例外ではなく、屋外に立ち続ける交通誘導警備業務では熱中症への備えが欠かせません。

ただし、ここで誤解してはいけないことがあります。水分・塩分・休憩といった基本の対策をしていても、熱中症で人は亡くなります。

ある現場では、エアコンのある休憩場所、2リットルの飲料水、塩あめが用意され、30分ごとに交替も行い勤務していました。それでも、経験30年のベテランが交替して休憩に向かったあと、休憩時に熱中症で亡くなりました。

その背景にはいくつもの油断が重なっていました。その方は数週間前にも熱中症で体調を崩し、11日間休んでいました。復帰の際、医師の診断は受けていませんでした。前夜の睡眠や飲酒の影響もあったとされます。

ここからわかるのは、熱中症対策は「現場での水分・塩分補給」や休憩だけでは足りない、ということです。前日からの体調、過去に熱中症になったかどうか、しっかり眠れているか。そして一度倒れた人が本当に働ける状態に戻っているかどうか。こうした体調管理と復帰の判断まで含めて、はじめて熱中症は防げます。

イースマイルでは、装備の面で空調服を導入し暑さによる体への負担をやわらげています。

あわせて、日常の声がけで一人ひとりの体調を把握し本人が「大丈夫です」と言っても、まわりが顔色を見て休ませます。発汗やめまい、ふらつきがあればすぐ報告し、涼しい場所で休む。仲間がいつもと違うときは声をかけ、回復するまで一人にしない。

また報連相を徹底し、管制もできる限りすぐに対応、無理をさせない環境を整えています。

KY(危険予知)を一人現場でも必ず実施

起こりうるシーンを想定しておくことが重要

事故を防ぐうえで欠かせないのが、危険予知(KY)です。KYは、チームでも一人でもできます。

作業を始める前に「もしこの車が止まらなかったら」「もし後ろから車が来たら」「もし工事車両が急に下がってきたら」と、起こりうる場面を頭の中でシミュレーションしておくことです。そしてその際にどこへ逃げるかまで事前に決めておきます。

とっさの時の判断力は、あらかじめ考えていた場合と考えていなかった場合では雲泥の差が生まれます。KYを形だけやっていても効果はありません。一人現場でも、業務開始前、業務実施中にもこのシミュレーションをする習慣があるかどうかで、いざというときの判断能力、行動は大きく変わります。

このシミュレーションは事故防止だけでなく、業務スキルの向上にも直結するほど非常に大切なことです。

 

事故を防ぐ仕組みと日々の対策

事故を防ぐイースマイルの取組み

個人の注意に頼らず教育と会社のしくみで安全を支える

ここまでお伝えした内容は、警備員一人ひとりの心がけだけでは続きません。イースマイルでは、教育と会社のしくみで安全を支えています。

まず教育体制です。入社後すぐに一人で現場に出ることはありません。基本的な警備の知識や技術は、法定の新任教育、先輩とのペア配置(OJT)、そして現場での指導を通じて段階的に身につけます。立哨位置・合図・退避・後進誘導・報告連絡相談といった基本を、実際の現場で繰り返し学びます。

次に報連相の習慣です。些細な異変であっても、5W1Hを意識して上司や会社、契約先へ報告・連絡・相談する。ヒヤリとした体験は社内で共有し、同じことを繰り返さないようにします。

警備業は年齢を重ねた方も多く活躍する業界。実際に業界全体で約2人に1人が60歳以上、約5人に1人が70歳以上という現状があります。だからこそ直行直帰が多い働き方のなかでも適時面談を行い、健康状態や悩みを把握します。そして長年の経験を持つベテランの知識を若手へ伝える機会をつくり、安全の知恵が受け継がれていきます。

これらを支えるのが当社の3C理念です。Cool(かっこいい所作)、Clean(きれいな装備と無理のない働き方)、Change(古い慣習にとらわれない改善)。空調服の導入も、スマホでの勤怠申請も、Changeの考え方にもとづく取り組みです。働きやすい環境を整えているのは、未経験の方が安心して長く続けられるようにするためです。

プロのワンポイント解説

終わりがけに気を抜かない

ここからは警備のプロがいる当社だからこそお伝えできる、現場の裏側の話です。

交通誘導警備業務中の事故防止というと、多くの人は「立ち位置」や「合図」を思い浮かべます。もちろん大切ですがそれだけではありません。もっと地味で、見落とされがちな二つのことを紹介します。

ひとつめは、断る勇気

当記事の冒頭でも軽く紹介しましたが、その日の警備業務が終了し、装備も外したあと、現場の作業員から「最後にこの車だけ出るのを見てくれないか」と頼まれることがあります。悪気はありません。ほんの一台、」ついでに、です。

しかし、ここで「いいですよ」と引き受けてしまった警備員が、私服のまま車道に背を向けて誘導し、直進してきた車に命を奪われました。契約の警備の時間は終了し、終了のサインもいただき定時を過ぎていました。

契約の時間が終了し装備を外したら、たとえ目の前で頼まれても安易に引き受けない。いったん「会社に確認します」と伝えて管制の判断を仰ぐ。これは冷たい対応ではありません。自分の命とお客様の現場、両方を守るためのプロのルールです。

「頼まれたら断れない」という人柄のよさが、皮肉にも事故につながってしまう。だからこそ、断る勇気を身につけることも大切なことなのです。

ふたつめは、最初と最後の5分

事故の記録を読み込むと、亡くなる事故の多くは規制を解除し資機材を片づけている作業の最中や、その日の業務が終わったあとに起きています。理由は二つ。ひとつは「もう終わり」と思った瞬間に周囲への警戒がゆるむこと。もうひとつはコーンなどの資機材が片づき始めると、通行する車も「工事終わったな」と判断してしまったり規制に気付かなくなることです。守りが薄くなったところに、いつもどおりの速さで車が走ってくる。終わりかけの数分が一日でいちばん危険なのです。

自身の立哨位置、つまり規制帯の先端に設置した資機材は絶対に先に片付けず、最後まで残し、規制解除まで規制帯の内側で誘導することが大切です。

規制帯の内側で誘導するためには、車両から見えやすい位置で誘導することができる「スペース」、そして退避する場所を確保するための「ある程度余裕を持った規制帯」が必要です。交通誘導警備業務を実施する場所の環境を整えることも必要です。

しかし実際には、規制用の資機材が手薄な現場もあるのが現実です。そういった場合にも、立哨位置には必ずコーン一つでも設置するようイースマイルでは指導しています。たかがコーン一つのあるなしと侮ることなかれ、それがあるだけでも、「この先で工事しているんだな」とドライバーに断然伝わりやすくなります。

 

最後に希望のある話を。ある現場では、トラックが規制帯に突っ込み規制車と規制車前方の2トンダンプが大破する事故が起きました。それでも、誰一人ケガをしませんでした。路肩を広くとり、規制帯を長めに設置し、ゆとりを持って誘導していたため警備員はとっさに退避できたのです。被害は車の物損だけでした。「念のため」を一つずつ積み重ねることが、人の命と奪う事故とただの物損とを分ける――これが現場の現実です。

こうした教科書には載っていない「断る勇気」と「最初と最後の5分」など実務に沿ったこと学べるのがイースマイルの強みです。私たちは、安全をもっと身近にする警備会社でありたいと考えています。

まとめ

  • 交通誘導の重大事故は、新人だけでなく経験20年・30年のベテランや有資格者にも起きている。慣れと馴れ合いがいちばん危険
  • 事故は「規制開始時・解除時」と「業務が終わったあと」に集中する。守りが薄い状況であるほど気を引き締める
  • 立哨位置がすべてを分ける。車に背を向けない、逃げ場のない場所に立たない、前だけでなく後ろと横も見る、同じ方向を2秒以上見ない
  • 誘導している工事車両こそ最も近い危険。常に、必ず、運転手から見える場所に位置する
  • 車は予想と異なる動きをすることがある。「伝わっているはず」を捨て、止まらないかもと早く見切って躊躇なく逃げる
  • 熱中症は水分・塩分・空調服だけでは防げない。体調管理と復帰判断まで含めて備える
  • KY、シミュレーションをするだけで危険回避能力、業務スキルに大きく差が出る
  • 契約時間が終わったら、頼まれても引き受けず管制に判断を委ねる。現場を出て自宅に帰り着くまでが仕事
  • 必ず規制帯の内側で誘導する。コーン一つでドライバーへ直感的に「工事」「規制」を知らせる

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イースマイルは、安全を最優先に、交通誘導警備を中心とした警備をご提供しています。コンビニのように気軽に頼める警備会社として、仙台・宮城の現場をしっかりお守りします。まずはお気軽にご相談ください。
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